『リハビリ教育のネタ』:その28.―夏の補注―
〈このシリーズ:その26 〉にとりあげた『電磁界の環境影響』著者の三浦正悦先生から、このコーナー宛にメールを戴いた。このコーナーをご覧戴いてのメールはこれまでで初めてであり感激、さらに、電磁波の環境問題解決にはご協力いただける旨のお言葉も添えられていて感謝である。
夏の「秩父」での教員研修会には、毎年のことながら参加させていただいた。そのなかに、「持ち帰って確認しなくては!」と思った事項が2つあった。一つは、中野隆先生の配布資料中である。この講演資料には、早速に、学術情報委員会がまとめた『 「教科書についてのアンケート」結果レポート 』(リハビリテーション教育研究 9:Suppl. 1-27, 2004)を引用していただいたが、そこで、「各校で解剖学の授業には3冊程度の解剖学教科書を使用しているのではないか」とのお話しがあった。学生に買わせている解剖学の教科書冊数は各校で1冊から6冊までの範囲でばらつきがあるものの、お察しのとおり、平均値をとると2.4冊±1.2冊である。やはり、1冊で済む教科書が必要である。なお、某書中の誤りを指摘されている眼球運動は、小生の書棚にある数冊の解剖学書のなかでは 『Anatomy (Asian edition)』(Gardner E. Gray D J. O’Rahilly R 1971 W. B. Saunders)3rd ed, P 651−654 に明確な説明がある。これについては、『徒手筋力検査法』の図はたしかに正しいが、一部の筋では眼球中間位と内・外転位では眼球の運動方向が違ってくることまでは書かれてなくて不完全である。いまのPT・OTが使用しているような日本語の解剖学書では眼球の運動学まで記載したものはないようだし、眼球運動理論が分っているPTも少ないと思う。PTならば、眼球の筋の走行と運動軸の位置関係を理解しておかなくては。
もう一つは、国際医療福祉大学の丸山仁司先生の、「鍼灸師国家試験は大学3年次終了時でも受験できているので、PT・OTも国家試験受験について同様の方法を取れる可能性がある、と厚生労働省が言っている」との発言である。調べてみると、確かに鈴鹿医療科学大学と関西鍼灸大学では卒業時に国家試験を受けるようになっているが、明治鍼灸大学鍼灸学部では3年次修了時に国家試験を受験して4年次は臨床実習に充てている http://www.oc-kyoto.com/19/gakubu.html 。鍼灸師も理学療法士・作業療法士(言語聴覚士の一部)も、国家試験受験資格は法の条文での違いはない。さすれば、PT・OTの4年制専修学校や大学では、3年次修了時に国家試験を受験して、国家資格を得た後の4年次で臨床実習を行うこともできる。もちろん、指定規則を改正して3年次までの臨床実習単位数を少なくして修業証明書を出せるようにするなど、カリキュラムを考えないといけないが、実習生が診療できるのかという問題については、一応解決できる。一方で、指定規則改正まですると、大学および4年課程の専修学校では卒業せずに修了のみという、中退者が増える可能性もあり、臨床経験がほとんど無いままに就職していく者もでてくる。3年制度の養成校では、臨床経験が無いまま卒業して就職することも考えられる。これは由々しき課題であり、慎重な検討を要する。