『リハビリ教育のネタ』:その35.―自己点検はアナログ的に―

専門学校における自己点検については「リハビリ教育のネタ:その29」で触れたが、先日、(財)専修学校教育振興会が開催した「自己点検・評価研修会」に参加した。リハビリ関係の学校ではまだ受験者数や求人数が多くて緊迫感がないが、他の職種養成の学校は生き残りに必死である。より良い教育をすることが学校の評価につながることから、生き残りの一方法として「自己点検・評価」を取り入れるべきではある。ただし、改善のための根拠を「自己点検・評価」だけに頼り、教育をマニュアル的に管理してしまうことは問題があろう。日本では『国家の品格』(藤原正彦 2005新潮新書 ¥714)にあるように数値で割り切れないところに文化があり、先生はえらい』(内田樹著 2005ちくまプリマー新書 \798)にあるように名物先生も必要である。教育に「自己点検・評価」は必要であるが、理論のみでデジタル的に点数をもってして片付けられないところがあって、その結果をどのように判断して活かしながら改善していくかは個人によると思われる。

学校の知名度を高めて受験者や就職先からの求人を集めるには、卒業生からの評価がかなり重要であって、卒業生が出身校を誇りにしているような学校になっていないといけない。知名度をあげるには『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』(黒川伊保子 2004新潮新書 ¥714)にあるように、学校のネーミングも要素ではあるとは思うが。

この研修会で確認できたのは、教育の質を向上して学校の名声を高めるのに行き着くところは教職員の『やる気』なのだ。

(茂野史利)

 

 

『リハビリ教育のネタ』:その36.―恥のない文化―

 

全国PTOT学校連絡協議会による「2005年後期研修会:老年期PTOT教育を考える」に参加した。と言っても、会場まで足を運んだわけでなく、居ながらにしての参加である。数年前から、郡山健康科学専門学校と北海道千歳リハビリテーション学院が中心となって、キャリアアップおよび生涯教育についての文部科学省委託事業の一環として、遠隔教育にインターネットを利用する方法の開発を続けている。今回は、その実用化に向けての第一弾といえるものである。「遠隔教育システムの利用」とサブタイトルが付いていて、インターネットを利用してメイン会場とサブ会場の専門学校5校を結んでライブ中継しての研修会である。各会場を結んでの活発な質疑応答とまではいかなかったが、これはむしろ主催者・参加者ともにこのような方式に慣れていないことが理由であろう。今後は、学校での特別講義や、小グループ単位での研修や症例検討会などでの利用が期待される。

 さて今回のテーマ「老年期PTOT教育を考える」についてである。老年期障害について養成校での講座が必要かどうか、そして医学的知識の教授はどのようなことが必要かというような議論よりも、臨床あるいは臨地の現場で、接遇ができない、対象者と話ができないから、その教育をどうするかとの話が中心となった。接遇については医療機関で経験があっても、医療機関でないところでは、その現場での新人には一から教育の必要があって、学校での教育と別のところにあるという意見が多数を占めた。

EBM(根拠に基づいた医療)の必要性をこれだけ広報されると、EBMこそがこれからの進むべき道で学生に教授すべきとの印象があるが、現場での問題はもっと違う次元にあるとのことである。診療や指導で患者や対象者の信頼を得ることが、治療や効果の根底であることを教える必要がある。この思いは、『医学は科学ではない』(米山公啓 2005ちくま新書 ¥714)にも共通するものである。信頼を得るには、知識や技術も大事であるが、『人は見た目が9割』(竹内一郎 2005新潮新書 \714)にあるように、身なりやしぐさ、ことばなど、第一印象から始まることも教えないといけないかも。

 話ができないということについては、一般常識に欠け、特に歴史や地理を知らないということがクローズアップされた。戦艦大和は宇宙戦艦大和と思っているとのエピソードが紹介されたが、レイテ島の地すべり災害がニュースになっても、レイテ島が第二次世界大戦と結びつく若者は否であろう。「日本は恥の文化」といわれた時代は遠い昔である。タレントが無知を売り物にしているお笑い番組が幅を利かせる中にあっては、知らないことは恥ずかしいことでなく個性であるとの、思い込みを植えつける。日本の文化が、知らないことが恥ではないことに変わりつつあることは『羞恥心はどこへ消えた?』(菅原健介 2005光文社新書 ¥735)にある。これが、探究心や研究姿勢をなくしているだけでなく学習意欲も低下させている。若者の全てがそうならないうちに、『教育欲を取り戻せ』(齋藤孝 2005生活人新書¥693)にあるように、何とかしなくては。

(茂野史利)

 

 

『リハビリ教育のネタ』:その37.―ゲーム機を逆手に―

 

年頭から任天堂ゲーム機「ニンテンドーDS15000」が品切れ状態で、どの店も売り切れの張り紙が張られっぱなしであったが、3月になってようやくコンパクトタイプ「ニンテンドーDS Lite16800」が販売になった。しかし、一部商品が販売延期になったことも手伝って、まだまだ品薄状態が続きそうである。「リハビリ教育のネタ:その18」でコンピューターゲームは脳を使わないから嵌らないようにしないといけないと書いたが、このゲーム機では、いま話題のソフト「脳を鍛える大人のSDトレーニング¥2800」が使える。これも評判となっての売れ行きなのか。

「脳を鍛える」ソフト開発者の川島隆太先生の講演を昨年末に聞く機会があったが、公演内容は『川島隆太の自分の脳を自分で育てる』(川島隆太 2004講談社α文庫¥680『川島隆太の脳の老化は自分で防げる』(川島隆太 2005講談社¥1050)に載っているから、読まれたし。なお、全般的な脳の研究に関する最近のトピックスは『脳はどこまでわかったか』(井原康夫 2005朝日選書¥1470)にある。

脳のトレーニングを実際にするには、「くもん出版」からドリルもでているが、ゲーム機なら持ち運べてどこでも使えて、110分で効果があるなら使い回しができそうである。じつは、小生、まだ手にしていなく、購入を考えているところである。第2弾ソフト「もっと脳を鍛える大人のSDトレーニング¥2800」も合わせて。

(茂野史利)